遺言書について幾つかの疑問を持っている人が多いようです。
遺言書の必要性は解るが、どうも遺すことに躊躇してしまう。その理由を聞くと以下のようなものがあります。
代表的なものは、
①自分には関係ないのでは?
②面倒そう?
③マイナス効果があるのでは?
今回は、この疑問について考えてみることにします。
①については、
・家族仲がいい
・遺言書を書くのはまだ早い
・財産が少ない
ご家族が円満なのは、良いですね。しかし、それはあなたが家族を束ねているからではないでしょうか?相続は、あなたが存在しなくなった時に発生します。自分が存在しない家族を想像して、少しでも心配であれば、あなたがいなくなってもあなたの意思で家族を束ねられる遺言を検討してみてください。
法務省の司法統計によると、遺産分割の争いのなんと75%以上が財産額5000万円以下です。財産額に関係なく遺言は必要な場合があります。
また遺言は、遺言能力が無いと遺せません。心身の状態が良い時が遺言の遺し時と言えます。
②については、
確かに難しい面もあります。しかし遺言書を書くことで遺された家族の無用な争いを防ぐことができます。
遺言書作成は、財産・相続人の確認、遺言書の内容検討、遺言書作成の手順で行います。より確実なものにするため、専門家に相談すると良いです。
また、多少お金がかかりますが、より実効性を高めるため公正証書遺言にすれば安心です。
③については、
・縁起が悪い
・遺言書を書いたら財産を使えなくなる。
・遺言書をのこしたら子供にいじめられる
遺言書を書くことは、大事な家族のためです。書いたら爽快感をかんじた。達成感を味わったという話も聞きます。
遺言書に記載した財産は売却や処分してはいけないと思っている方が多いようです。しかし、そんなことはありません。財産は、いくら使っても良いです。
遺言は、相手のない単独行為であり、遺言内容と抵触する生前処分行為はその分だけ自動的に遺言の撤回をしたものとみなされます。
遺言は、いくらでも撤回することができます。家族との関係で変えたいと思えば、いつでも一部もしくは全部を撤回すれば良いのです。
更には、遺言書を書いても実現されない可能性がある。と言う疑問を持っている方もいます。
公正証書遺言で遺言の確実性を高めるとともに遺言執行者を決めておくことでそんな心配もなくなり遺言書通り執行されます。
遺言書について、まだまだ疑問・誤解があるかも知れません。
こうした疑問も専門家に相談してみることで解決できるかも知れません。仲がいい家族のためにも遺言書を遺すことをお勧めします。
(信行)